小泉花恋振り返り5:卒業カウントダウンシングル第1弾「好きすきスキスKiss」

2月に発売された卒業カウントダウンシングル第一弾「好きすきスキスKiss」について。以下2月にバババッと書いて、下書きに入れていたものを少し校正したり書き足したものです。


下のほうに歌詞も掲載しているので、「歌詞が見たいだけなのに、ブログ長ぇよ!」という方は頑張ってスクロールして辿り着いてください。

2018年の9月のバースデーに併せて作った新曲が、卒業のタイミングで音源化できました。配信限定なので、ここに歌詞とクレジット、それぞれの楽曲解説と「アイドル3部作」についてお話ししたいと思います。


「好きすきスキスKiss」収録の2曲は、小泉花恋楽曲では「今日、彼女が卒業する。」「タピタピタピオカ」「#らぶりつください」の3曲を作編曲してくださっているToo Takahashiさんに作編曲をご依頼しました。


実は表題曲の「好きすきスキスKiss」より前に「ANOTHER WORLD」の構想があり、Too Takahashiさんにお願いして、「今日、彼女が卒業する。」「#らぶりつください」「ANOTHER WORLD」の3曲で、アイドルの悲哀をテーマにした3部作(通称、というか私が呼んでる:アイドル3部作)にしようと考えていたのです。「今日、彼女が卒業する。」がいきなり卒業がテーマなので、時系列は滅茶苦茶ですが…。


小泉花恋がアイドル好きであること、つまりアイドルファンの目線を持っていることから、「アイドルの卒業を悲しむファンの曲を作ってみよう」と思ったのが「今日、彼女が卒業する。」です。実はこの曲、Apple Musicをはじめとしたサブスク(定額音楽聴き放題サービス)の小泉花恋曲ランキングで1位で(2019年2月現在)、小泉花恋のファンだけでなく、他のアイドルファンの方にも聴いていただけているのかな?と予想しています。ふぁんふぁん人気はハイテンションな「パンダとダンパ」が1位なので、面白い現象です。


Too Takahashiさんとの出会いは、『ワンランクウエノガール』収録曲制作のために仕事発注サイトに掲載したオーディション形式でのトラック募集。集まってきた何十曲というトラックを聴き比べながら、「あまりピンとくるものがないな」と思っていたなかで、「これだ!!!」と思ったのがToo Takahashiさんのトラックでした。それが「今日、彼女が卒業する。」になって今に続いているので、本当に良縁に恵まれたと思います。


「#らぶりつください」は、いいね!とリツイートを希望するTwitterのハッシュタグです。「もしアイドルが他のアイドルのファンに片思いをしたら」をテーマに歌詞を書いたのですが、メインテーマは横恋慕なので、女性も男性も共感できる部分があると思います。スマホカルチャーを織り交ぜつつ、ネトストして病んだり、本人も気づいてないようなクセを見つけてキュンとしたりと、心のアップダウンが激しい歌詞になりました。


そして今回の「ANOTHER WORLD」へとつながるのですが、アイドルと他界(応援していたアイドルから離れること)は切り離せない問題で、他の世界→ANOTHER WORLDと、曲作りはテーマありき。重いテーマなので、トラックは明るく・かわいく!と思い、Too Takahashiさんには「00年代半ばに大流行した乙女HOUSEをアイドル風にアレンジ」とお願いしています。4つ打ちが気持ち良いので、ぜひトラックだけ聴いてみてほしいです!


「ANOTHER WORLD」の作詞のヒントになったのは、オフコースの「秋の気配」という曲。「こんなことは今までなかった ぼくがあなたから離れていく」という、自分が相手に興味を持てなくなっていくことを、さも自分は悪くないかのように悲しんでいる、言ってしまえば超ワガママな歌詞ですが、たった2フレーズでものすごくセンチメンタル(そしてこれが愛らしく聞こえるのが小田和正のすごいところ!)。タイトルと相まって恋愛が斜陽していく切なさが描かれていて、いつか自分もこんな世界観の歌詞を書いてみたいと思っていました。


アイドルから他界するときによくいるのが、他にもっと気になる子ができただけなのに、心が離れた理由をアイドルに見出す人です。アイドル自身は何も変わっていないのに、新たに気になっている子と比較すると、悪い面ばかりが目について、「病んだ」「自分は干されている」「裏切られた」と言いながら離れていくのです(新しい子の悪い面がまだ見えてないだけなのにね!)。わざわざ本人に言ったり、誰を指してるか明確なエアリプで非難するな、黙って離れろ!…なんて見掛けるたびに思うわけですが、アイドル業界ではわりと日常茶飯事な光景。


「ANOTHER WORLD」の主人公はそこまでではありませんが、予備軍だと思っています。好きだったアイドルに色々言いたいことはあるけど、ぐっと踏みとどまって別れを告げずに去っていく。傾けた時間と想いと財布が重くなればなるほど、見返りがほしくなるのは当然。


でもアイドルはどんなに頑張っても全員と恋愛関係になることはできないわけで(そもそも恋愛禁止が圧倒的に多いし)、ふたりの間に適切な関係を結ぶことは至難の業です。だからアイドルとファンの関係がずっと良好であり続けることは奇跡に近いし、いつ離れてもおかしくはないと思っています。


「ANOTHER WORLD」がそんな陰鬱とした気持ちにさせる曲なので、表題曲の「好きすきスキスKiss」は底抜けに明るい曲を目指しました。小泉花恋の盛り上がるキラーチューンといえば、「パンダとダンパ」で、もう1曲ハイテンションな曲が必要な時期だったんです。


Too Takahashiさんから届いた1stトラックがチップチューンだったので、歌詞はそこから着想してパワーバランスで言うと男の子のほうが余裕がある両片思いをコミカルに描きました。女の子は彼に翻弄されながらも、あれこれやってみては一喜一憂する。ラブコメのような世界観です。


1番を聴きながら歌詞を書いていたら、後日届いたトラックの2番に唐突な野球テイストが入っていて大爆笑。特にオーダーしていなかったのですが、Too Takahashiさんの小粋な遊び心に「絶対これは活かそう」と思い、振付はそのまんま、ここ一番のバッターのマイムにしました。ホームラン予告をしたのにアウトというガッカリ感もラブコメ漫画にありがちな脳内の妄想をイメージしています。


そういえば今回は振付師の安里エル先生が忙しいそうで、2曲とも振付は私が作りました。「好きすきスキスKiss」は、「愛してね♡もっと」のカバーで使っていた羽根扇子を再活用。ソロアイドルは振付を工夫しないと「ステージにポツン感」が出やすいので、羽根扇子でボリュームを持たせて動きを大きく見せるのは大成功。ステージの背景が真っ黒なところが多いので、白い羽根扇子はとても映えます。「ジュリ扇だ〜」と興味を持って見てくれる人が多いのも良かったです。



好きすきスキスKiss

作編曲:Too Takahashi
作詞:アイザワアイ


どこか違うシーソーゲーム
基本なんかなんかなぁ
うまくいかん遺憾です
パサパサとシリカゲル

なにが違うタクティクス
応用なんかなんかなぁ
うまくいけば活き場です
サラサラとキリアゲル

抜き足忍び足 アイツに忍び寄る
横顔見て真顔
♡はきっと大接近

好きすきスキスKiss!?
見え透き!わかり易き!
好きすきスキスKiss!?
好きくらいじゃ足んない!足んない!

なぜか違うキネティクス
実践なんかなんかなぁ
うまくいって生還です
スルスルとシイタゲル

浮き足千鳥足 アイツが搾り取る
泣き顔見て笑顔
♡がずっとズキンズキン

好きすきスキスKiss!?
見え透き!わかり易き!
好きすきスキスKiss!?
好きくらいじゃ足んない!足んない!

好きすきスキスKiss!?
たやすき!こころ易き!
好きすきスキスKiss!?
好きくらいじゃ足んない!足んない!

かっとばせ!れんれん!♡をと・ば・せ!
かっとばせ!れんれん!♡をと・ば・せ!

3・2・1・3・2・1踏ん切りつかぬ!
3・2・1・3・2・1…
セリアゲル

好きすきスキスKiss!?
見え透き!わかり易き!
好きすきスキスKiss!?
好きくらいじゃ足んない!足んない!

好きすきスキスKiss!?
たやすき!こころ易き!
好きすきスキスKiss!?
好きくらいじゃ足んない!足んない!

キスくらいじゃ満足できない!


ANOTHER WORLD

作編曲:Too Takahashi
作詞:アイザワアイ


ああ気づいちゃった
もう好きじゃない
あんな追いかけて心変わり?違う

いろんな人とモノを 見てみたい時期だった
それを浮気者って笑顔で刺す

海より深く空より高く
使い古された言葉並べていたな
世界にたったひとりの女の子に 別れを告げず
GO TO THE ANOTHER WORLD

知りたくなかった
もう熱がない
この気持ちの名前は知ってる

手を握った
それだけでよかったと思っていたな
二人を別つルール

綺麗事を並べて渦巻く
喧嘩 嫉妬 独占欲
胸が苦しいよ
世界にたったひとりの女の子に さよなら

一生愛すと言ったあの日
気持ちは本物 本当に

ありがとじゃなくまたねじゃなくて
たったひとつの言葉もらえなかった
世界にたったひとりの女の子に 別れを告げず
GO TO THE ANOTHER WORLD